Published On: 2019.09.04Categories: 古民家の暮らし, 片づけ収納, 道具


9月になって虫の声が大きく響いています。

今89歳になる父は、定年してから陶芸を始めて、10年前にやめるまで数多くの器を黙々と作りました。

まず裏山の土を削り運んで粘土を作ります。
そして様々な木を焼いて釉薬になる灰を作ります。
すべて手作りです。

始めると没頭する職人気質の父は
ろくろを買い

大きな窯も買って

ただひたすらに作り続けました。

「そんなに作ってどうするの?」
という外野の声には耳もくれず・・・笑

時には、福山市美展に入選して喜んだことも!

傘立ても父の力作です。素人ながら個展も開いたりしました。

大きな肉厚の手で作る器は、どれも奇をてらわず素朴です。
父の優しい人柄のようにあったかいです。
目が見えにくくなって作らなくなってからも、孫(私の息子です)が
「お嫁さんにプレゼントしたい♡」と言うと、横に座って教えてくれました。
「上手、上手!」と嬉しそうに褒めてくれます。

大好きな父の器だけれど、あまりに多すぎてあちこちにしまいこんだり、他の食器と混じっていたり、段ボールに入れてそのままになったりしていました。
埃を被って何年も使われていない器もたくさんありました。

そこで家のあちこちにあった器をまず全部集めました。そして大きい壺、小さい花器・食器に分けます。
大きな壺は廊下や庭に

小さな壺・大皿は、棚に並べて。

食器は父の作品専用の食器棚を作って。

今では秋になると、父の器は大活躍です!
「楓花」では秋になると父の器にかめ代の料理を盛ってお出しします。
父の器だけをまとめて収納していたので、すぐに秋のおもてなしの準備ができました。

「じっちゃんの器に盛ると、料理が引き立って嬉しい!!」
とかめ代は毎年同じことを言います。

今となっては、じっちゃんは将来の娘たちのために根気のいる作業を続けてくれていたのではないかな、と思うことがあります。
もしかして家の守り神がそうなるように道筋を作ってくれていたのかな、とも思ったり・・・。

はからずも、夏には母手作りの籠が、秋には父手作りの器が、「楓花」に彩を与えてくれています。。