Published On: 2019.08.28Categories: 古民家の暮らし, 古民家再生, 部屋のしつらえ

時々、古民家再生の様子をお伝えしていますが、今回は「襖編」です。
山裾にひっそりと建つ、草で覆われた今にも倒れそうな小屋の中を整理していたら、こんな襖が3枚出てきました。
ボロボロで虫がいそうなので、一瞬「処分しようかな」と思ったけれど、100年の時を経て今目の前にある襖です。
「よし。綺麗になるかどうかやってみよう!」
とまず紙をめくりました。

一番上の襖紙は、日に当たって絵が消えていましたが、一枚めくると昔の襖紙が顔を出しました。
庭に紅葉がたくさん植えてあるので、お店の名前を「楓花」にしたのですが、襖紙も紅葉でした。
もしかして、ご先祖様は紅葉がお好きだったのかしら・・・

そして襖紙をめくると、字を書いた紙が次々と!!
そうか、昔は紙も貴重だったから、書き損じた紙や不要になった紙を中に張っていたんだなあ~
と遠い昔に想いを馳せます。

紙をめくると骨組みはしっかりしていました。
「これは使えそう!!」

襖紙を綺麗に貼る自信がなかったので、紅葉の襖紙を選んでプロにお願いして貼ってもらいました。
3枚しかないので、2枚を部屋と部屋の境に間仕切りとして使って目隠しに。
あえて上には障子を張らずに開放的に。

もう1枚は廊下の突き当りに引き戸として!
しっかりと上まで障子を張りました。
以前はカーテンで仕切っていたので、廊下から冷たい隙間風が入ってきていましたが、今は快適です。
そして黒色の桟が、柱の黒色とマッチしてお気に入りの襖になりました。

私の曽祖父のそのまたお父さん(調べてみたら高祖父というそうです)が114年前に建てた家。
きっとその当時木枠を考え襖紙を選んで作った建具です。
途中使われなくなって何十年も(父も母もその存在を知りませんでした。)物置で眠っていた建具が、晴れ晴れと客間に存在しています。
きっと家も襖も喜んでるなあ~
と襖を見るたびににんまりしています。