Published On: 2019.08.11Categories: 古民家の暮らし, 道具

酷暑の夏、母が編んだ籠の出番です。床の間には籠がとても涼し気です。

選びやすいように、まとめて飾ります。
籠を並べたこの下は・・・実は井戸になっています。

籠をよけると石でできた井戸が現れます。
今の家に建て替えたのが114年前。もしかしたらその前の家の時もあったかもしれない古い井戸です。

周りの黒い石のようなものは、うちで薪ストーブを使っていた頃作った炭です。
これも父が裏山の木を切って降ろして薪割りした薪を、焼いて作った炭です。
少しでも湿気ないようにと入れてみました。

定期的に井戸の水を全部抜いて掃除をして、水質検査をしてもらいます。
「井戸の水は夏は冷たくて、冬は温かいんよ~」
と母はよく言います。井戸の中は涼しいので、昔は野菜などを籠に入れて井戸の中にぶら下げていたそうです。冷蔵庫代わりだったのですね。
ずいぶん前の断水になった水不足の夏にも枯れなかった、ありがたい井戸です。

夏には家のあちこちに母の手作りの籠を飾ります。

見やすく選びやすいように、廊下や階段にも籠を並べています。

庭で摘んできた花に似合う籠を選んで、母が活けます。

小さな床の間には、庭で摘んだ蓼(たで)をシンプルに。

同じ蓼でも籠や活け方によって印象が変わります。こちらは大胆に。書の「風」という字と調和しています。

籠作りは、裏山の竹林から竹を切って降ろすところから始まります。
父がせっせと山で切って降ろした竹を、適当な長さに切って縦に何度も割ります。

細くなってきました。

やっと編み始めます。

様々な編み方があります。

手間暇かけた籠は、花を活けなくてもただそれだけでどっしりと存在感があります。

竹籠は年中楽しめるそうですが、「楓花」では夏の間だけ飾ります。
わずか3か月の出番の籠を愛でて楽しみます。