《写真を見て語った父の話》
わしはこの頃、毎日毎日喧嘩ばかりしとったんよ。
ある日友達を窓から外へ投げ飛ばして怪我をさせてしもうた。
そしたら、お袋が呼び出されて。。。
お袋は真っ白い顔で、頭を長いこと下げとった。
わしには何にも言わんかった。
ただ悲しそうな顔でわしの顔を見つめとった。
その日からわしは、一切喧嘩を止めたんよ。
この写真は、11歳の時じゃな。
戦争のときわしは予科練に志願した。
この写真の3年後。14歳じゃった。
出征の時、駅の見送りの人の中にお袋がおらんかった。
列車が進み始めて外を見ると、白い円柱の陰にお袋が立っとった。
お袋は青白い顔で、わしをじっと見つめとった。
わしは列車の中で号泣したんじゃ。
男は泣いたらいけんのに。
《写真を見て語った母の話》
この写真は、お父さんとの結婚式の後。
もう60年も前じゃねえ。
白無垢のままでは疲れるからと、お義母さんが着付けてくれたんよ。
優しい優しいお義母さんで、お風呂も一緒に入ったんよ。
認知症の症状が進む1年前。
父がまるでその場にいるかのように語ってくれたお話です。
次から次へと思い出が蘇って、時には涙を流しながら語ってくれました。
私が知らなかったお祖母ちゃんのお話。
聞くのが楽しくて時間を忘れました。
そして父は
「あっこはお袋にそっくりじゃのう。」
と嬉しそうに私を見つめます。
そしてそのあとに
「でも性格は全然違うのう。」
と大笑い。
今では、父は私の顔も時々わからなくなります。
写真を見て思い出すけれど詳しくは話せません。
あの時に写真を整理して話を聞いててよかった、と心から安堵しています。
父のお世話をしてると、時々つらくなることもありますが、
この写真を見ると、ほんわか優しい気持ちで父に接することができます。
親戚の結婚式で疲れて退屈してふてくされている私。
「もう家に帰りたい!!」
と駄々をこねていた時
父に頭をポンポンとされました。
てっきり父が怒っていると思い込んでいました。
でも写真には、愛おしそうに微笑んでいる父の笑顔が写っています。
頑固一徹で怖かった父。
でも私を見る優しい笑顔がうれしくて。。。
だから私も父にいつも優しい笑顔を届けたいと思っています。
両親のベストショットアルバムを作って思い出話を聞いていると、写真の持つ力に魅了されました。
たった1枚の写真が思い出を鮮やかに蘇らせる。
そして、つらかった思い出も写真を見ながら語ることで、心を癒すことができる。
自分だけでなく大切な人も笑顔にできる。
写真の素晴らしさや、整理の方法をお伝えしたくて
この度、生前整理スクラップブッキング認定指導員の資格をとりました。
かけがえのない時間を大切な人と共有できるようお手伝いしていきたいと願っています。
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