「明日右目も見えなくなるかもしれません。」
左目は失明。
右目も緑内障で眼圧が47あり、いつ見えなくなってもおかしくない状況だと、
3月末に医者から説明を受けました。
91歳の父の話です。
(知らなくて後悔した話)
点眼によって眼圧が下がらなければ、手術。
術後しばらくは右目は眼帯。
認知症の父が両目が見えない状況を想像すると怖くて、
手術しなくてすみますように
と祈りました。
点眼を始めた次の日眼圧24
1週間後眼圧23
少しずつ下がりました。
視力が良くなるわけではないけれど、
すぐに失明するリスクは減って、心底ホッとしました。
通院と同時進行で、お医者さんや福祉のプロの方々に相談。
介護認定の見直しの手続き
デーサービスの利用日程の見直し
ベッドの移動・手すりの設置
昇降リフトや廊下の段差の解消工事
トイレのリフォーム
車いすレンタル
介護タクシー、訪問介護
などなど今できる最善の方法で介護をしようと覚悟を決めました。
まず初めに
「ベッドを寝室からリビングへ移動」しました。
ベットが置いてある寝室は、窓がなく暗い部屋です。
朝起こしてもなかなか起きず、デーサービスに行けない日が続きます。
一日中うつらうつらしていて無表情・無反応。
1人では歩けず、母や私が両手を支えて歩きます。
一歩が3センチくらい。。。
「認知症」と「見えなくなったショック」とが重なったのか
少しは見えるはずなのに、見ようとしてない感じ。
見ようとする意欲もないような。
焦点の合わせ方がわからないような感じです。
だから怖くて歩けないのです。
また、1人でベッドから降りようとして転んだことも。
そこで、思い切って父と母のベッドをリビングに移すことにしました。
それまでリビングには、
リクライニングチェアが2つ、
デスク用椅子が2つ。
電話の所にも椅子。
ちょっと座る時用の椅子2つ💦
なんと合計7つの椅子を置いてありました。(高齢者あるあるです。笑)
ベッドをリビングに移動すれば、ベットが椅子代わりになります。
そこで、椅子は2つに減らすことができました。
どんなに狭くなるかと思ったけれど、たくさんあった大きな椅子が減ったので、かえってすっきりとしました。
実は「認知症の方の場合、ベッドを動かすのは賭けなんです。」
と福祉用具の会社の方に言われていました。
ベッドを動かすと、自宅ではないと感じる方がいるそうです。
実際父もベッドを動かした夜は、
「家に帰る」と言って母を困らせたようです。
でも次の日の朝、奇跡が起こりました。
私が父の家のドアを開けてキッチンを見ると・・・。
なんとそこに父が座っていました。
いつもはその時間ベッドに寝ているのに、キッチンの椅子にちょこんと座っています!!
「え?じっちゃんもう起きたの?」
母が満面の笑みで、
「カーテンを開けたら朝日が入ってきて、じっちゃんパッと目が覚めたんよ!!」
なんということでしょう。
太陽の光が自然に父を起こしてくれたのです!!
「じっちゃん、おはよー」
と言うと
「あんさんは、どなたかな?」
私が
「あきこよ。あなたの娘♡」
と答えると
「ほうじゃった。ほうじゃった。」
といつもの会話。
目は合わないし笑顔はないけれど、
嬉しすぎて、涙がにじんできました。
父が元気な時は、
「おはよー」
と言うと、
「グーテンモルゲン!チーファンラマ!」
と、茶目っ気たっぷりにドイツ語と中国語で笑顔で挨拶してくれていたし、
「ほうじゃった、ほうじゃった!!」
と言ったあと、自分の頭をこんこんとしながら、顔をくしゃくしゃにして大笑いしていたので、
いつかそんな日が戻ってきましようにと、心の中で祈りました。
それから2カ月半経った今日の朝、
「おはよー」
と言うと
元気よく
「グーテンモルゲン!!」
そのあと、黒目がゆらゆらと左右に動いた後、
すう~っと焦点が私の顔に。
そして・・・
「あっこは、よう肥(こ)えたなあ~」
と顔をくしゃくしゃにして大笑い。
あ~見えてる!!
私のことがわかってる!!
じっちゃんが笑ってる!!
じっちゃんが戻ってきた~!!(号泣)
でも・・・。
ん?
あれ?
目の悪いじっちゃんがわかるほど、私太った!?
泣き笑いの介護生活です(笑)
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