Published On: 2020.09.22Categories: 古民家の暮らし, 道具

福山市にお住まいの竹芸家「門田篁玉」先生。
門田先生が主催されている竹創会の3期生として、母は先生から竹籠作りを教わりました。
そして数年前に「楓花」にて先生の100歳のお祝いの会をさせていただきました。
ありがたい思い出です。

↓先生が竹とふれあって60周年の時に出された本「竹匠の語り部」。もう30年近く前の本です。
103歳になられた今も素晴らしい作品を発表され、竹工芸の魅力を発信し続けておられます。

9月の「楓花」のしつらえは、母手作りの竹籠をあちこちに・・・。
夏籠と井戸のブログ

竹籠には様々な編み方があります。
その1つの「ゴザ編み」。
編み上りがゴザやすだれのように見えるのでそう呼ばれるようになったそうです。
↓こちらは、途中を少し透かしているので涼やかな感じがします。形は「魚籠(びく)型」

庭の「ヨウシュヤマゴボウ」と「シマガマ」を摘んで活けると風情があります。

「ゴザ編み」の二目飛ばし

「ゴザ編み」の上に二重に編んでいる二重編み。

母のお気に入りの作品。こちらも「ゴザ編み」の二重編み。

「ゴザ編み」の六つ目掛け

こちらは「六つ目編み」
編み目が六角形に見えます。

「透かし編み」

「六つ目編み」や「透かし編み」はとても涼やかで夏から初秋にかけてが似合う気がします。

「みだれ編み」(やたら編みとも呼ばれる)

この季節になるとどこにでもあった「すすき」。
今はなかなか見つかりません。
ご近所さんがわざわざ探して持ってきてくださいました。(感謝!!)
やっぱり秋と言えば「すすき」
「みだれ編み」の深い色の竹籠に活けると一気に秋になります。

「網代編み」
母のお仲間の方の作品です。
細かい模様を見ると手仕事の緻密さに圧倒されます。

「宗全(そうぜん)かご」
久田宗全好みの籠花入れだそうです。
籠にも生け花にもいろいろな決まり事がありますが、私は詳しいことはよくわからず・・・。
母は「自分流♡」と言って笑います。もう84歳。細かい事にはこだわりません(笑)

私も少しでもできるようになりたくて、若い頃少しかじった生け花を再度習い始めましたが・・・。
風情を感じる活け方ができるようになるのは、いつになることやら。。。

父が裏山で竹を切って運んで割って削った竹ひごを、母が編んで作品にします。
山の竹を全くの手仕事で竹籠に仕上げる、2人の共同作業。気の遠くなるような作業です。

↓下の写真は、竹籠を生む裏山の竹林。(竹林のブログ 竹林の輝く新緑と「まり」)

竹籠に編む竹は真竹を使います。
真竹の方が孟宗竹より厚みが薄く節と節の間が長いからです。
逆に竹籠の中に入れる「おとし」には厚みのある孟宗竹を使います。
もちろん孟宗竹は春に筍として頂くこともできます。(筍のブログ 猪が見つけられなかった「筍」

竹を切る時期は11月から春彼岸までが適しています。
竹の水分量が少なくなって加工しやすく腐りにくくなるからだそうです。また春彼岸を過ぎると虫が入りやすくなるからです。

竹籠を見つめていると、自然とともに生活した昔の人の知恵と技を受け継いで今がある、という事を実感します。

お客様にも見ていただけて、この上ない喜びです。

山の恵みに感謝。